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家系図づくりや相続の準備で戸籍を集めると、出生から亡くなるまでの戸籍謄本や除籍謄本が、思った以上の分厚い束になることがあります。相続の手続のたびに、この束を何度も出し直すのは大変です。そんなときに知っておきたいのが、法務局の「法定相続情報証明制度」です。
この記事では、法務局のウェブページ「『法定相続情報証明制度』について」と「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」(いずれも2024年4月1日更新)をもとに、制度のしくみを5つのポイントにまとめます。後半の、家系図づくりとあわせて準備するときの工夫は、この記事の提案です。
※この記事は制度の概要を紹介するもので、個別の相続について判断するものではありません。具体的な手続や必要な書類は、法務局や提出先の機関、専門家などに確かめてください。
法定相続情報証明制度とは
一覧図に認証文をつけて交付
法務局によると、この制度は、相続人が、相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)とともに、戸除籍謄本などの束を登記所に提出し、登記官が一覧図の内容が民法に定められた相続関係と合っていることを確かめたうえで、その一覧図に認証文をつけた写しを無料で交付するものです。平成29年(2017年)5月に創設されたと説明されています。
戸籍の束の代わりに使える
法定相続情報一覧図の写しは、戸除籍謄本などの束の代わりに相続登記に使うことができるため、不動産が複数の法務局の管轄にまたがっていても、それぞれに戸籍の束を出す必要がなくなると説明されています。
法定相続情報証明制度を知る5つのポイント
ここでは、法務局の説明から、押さえておきたい点を5つにまとめます。
1. 写しの交付は無料
法務局の説明では、認証文をつけた一覧図の写しは無料で交付されるとされています。
2. 申し出できるのは相続人
制度を利用できる(申出人になれる)のは、被相続人(亡くなった方)の相続人(またはその相続人)です。申出人からの委任によって、代理人に頼むこともできます。代理人には、親族のほか、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士がなれるとされています。
3. 手続は3つのステップ
手続は、必要書類の収集、法定相続情報一覧図の作成、申出書の記入と登記所への申出、という3つのステップで進めると説明されています。
4. 申し出先は4か所から選べる
申出をする登記所は、被相続人の本籍地(死亡時の本籍)、被相続人の最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地のいずれかを管轄する登記所から選べます。登記所に行くほか、郵送でも申出や受け取りができるとされています。
5. 一覧図は5年間保存され、再交付も
法定相続情報一覧図は、申出日の翌年から数えて5年間保存され、そのあいだであれば再交付を受けられると説明されています。再交付を受けられるのは、当初の申出書に「申出人」として氏名を書いた人です。
5つのポイントの早見表
| ポイント | 法務局の説明 |
|---|---|
| 費用 | 一覧図の写しは無料で交付 |
| 申出人 | 被相続人の相続人(またはその相続人)。代理人への委任も可 |
| 手続 | 書類の収集、一覧図の作成、申出書の記入と申出の3ステップ |
| 申出先 | 本籍地、最後の住所地、申出人の住所地、不動産の所在地のいずれかを管轄する登記所。郵送も可 |
| 保存と再交付 | 申出日の翌年から5年間保存。当初の申出人は再交付を受けられる |
表の内容は、法務局のウェブページをこの記事でまとめたものです。
3つのステップをくわしく
STEP1 必要書類の収集
法務局のページでは、用意する書類の一覧(PDF)が公開されています。被相続人の出生から亡くなるまでの戸除籍謄本については、法務局の「よくあるご質問」を参考にするよう案内されています。
STEP2 法定相続情報一覧図の作成
被相続人と、戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図を作ります。法務局のページでは、主な法定相続情報一覧図の様式と記載例が公開されています。
STEP3 申出書の記入と申出
申出書に必要事項を記入し、STEP1で用意した書類と、STEP2で作った一覧図をあわせて申し出ます。申出書の様式(WordとPDF)と記入例も、法務局のページで公開されています。
| ステップ | やること | 法務局のページで公開されている資料 |
|---|---|---|
| STEP1 | 必要書類の収集 | 用意する書類の一覧、よくあるご質問 |
| STEP2 | 法定相続情報一覧図の作成 | 主な一覧図の様式と記載例 |
| STEP3 | 申出書の記入と登記所への申出 | 申出書の様式、記入例 |
再交付の申出先
一覧図の写しが追加で必要になったときの再交付の申出は、当初の申出をした登記所(申出人が作った一覧図が保管されている登記所)で受け付けると説明されています。再交付申出書の様式と記入例も公開されています。
一覧図の写しを使える手続
相続登記のほかにも
法務局によると、一覧図の写しは、相続登記の申請手続のほか、被相続人名義の預金の払戻し手続、相続税の申告、被相続人の死亡に起因する年金などの手続など、さまざまな手続で利用できるとされています。利用できるかわからない場合は、提出先の機関に問い合わせるよう案内されています。
相続登記の申請義務化との関係
法務局のページでは、令和6年(2024年)4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないと説明されています。
法定相続情報番号
令和6年4月1日から、登記申請書の添付情報欄に「法定相続情報番号」(一覧図の写しの右肩部分に記載される番号)を書くことで、一覧図の写しの添付を省略できるようになったとされています。ただし、不動産登記以外の手続では、この番号は使えないと注意書きがあります。
制度を使うときの注意点
利用できない場合
被相続人や相続人が日本国籍を持たないなど、戸除籍謄抄本を提出できない場合は、この制度を利用できないとされています。
一覧図に書かれる人・書かれない人
この制度は、戸除籍謄本などの記載にもとづく法定相続人を明らかにするものです。そのため、相続放棄や遺産分割協議の結果、実際には相続人とならない人がいる場合も、一覧図にはその人の氏名などが記載されると説明されています。一方で、推定相続人から廃除された人は、相続権がはく奪されているため、一覧図に記載されないとされています。
| 場合 | 一覧図への記載(法務局の説明) |
|---|---|
| 相続放棄や遺産分割協議で実際には相続しない人 | 記載される |
| 推定相続人から廃除された人 | 記載されない |
本人確認書類は返却されない
申出人の氏名・住所を確かめられる公的書類(運転免許証のコピーなど)は、戸除籍謄本と違い、登記所から返却されないと説明されています。住民票の写しの原本を手元に残したい場合は、原本とコピーをあわせて提出する方法が案内されています。
不備があると返戻・廃棄も
登記官が不備を直すよう求めても、必要な書類や正しい一覧図が提出されない場合は、預かった書類一切が申出人に返戻され、返戻に応じない場合は、申出日から3か月たったあとに廃棄すると説明されています。
家系図づくりとあわせて準備する工夫
ここからは、法務局の説明をもとにした、この記事の提案です。
集めた戸籍を一覧にしておく
家系図づくりで集めた戸籍は、どの人のどの時期の戸籍かを一覧にしておくと、相続の手続で必要になったときに探しやすくなります。
一覧図と家系図は役割を分ける
法定相続情報一覧図は、戸籍の記載にもとづいて法定相続人を示すためのものです。先祖の広がりをたどる家系図とは目的が違うので、それぞれ別のものとして作り、保管しておきましょう。家系図には一覧図に載らない祖先や親せきも書けるので、一覧図の写しを受け取ったら、家系図の該当する部分と見比べて、名前や続柄に食い違いがないかを確かめるのもおすすめです。
申出先を選ぶ前に地図で確かめる
申出先は4つの地を管轄する登記所から選べます。被相続人の本籍地、最後の住所地、自分の住所地、不動産の所在地を書き出し、どこが通いやすいか、郵送にするかを比べてみると、手続の計画が立てやすくなります。
保存期間をメモしておく
一覧図は申出日の翌年から5年間保存されます。申出日と申出をした登記所をメモしておくと、あとで再交付が必要になったときに迷わずにすみます。
窓口に行く前に提出先へ確認する
一覧図の写しを使う予定の手続があれば、写し以外に必要な書類を、あらかじめ利用先の機関に確かめておくよう法務局も案内しています。
法定相続情報証明制度のよくある質問
一覧図には誰が書かれる?
被相続人と、戸籍の記載から判明する相続人です。相続放棄をした人なども記載される一方、推定相続人から廃除された人は記載されないと説明されています。
お金はかかる?
一覧図の写しは無料で交付されると説明されています。戸籍を集める費用や郵送料などは別にかかる場合があります。
戸籍の原本は返ってくる?
法務局のページでは、郵送で一覧図の写しの交付を受ける場合に「戸除籍謄抄本の返却を含む」と書かれており、戸除籍謄本は返却されるものとして案内されています。一方、本人確認のための公的書類は返却されないとされています。
郵送でも申し出できる?
できます。郵送で受け取る場合は、その旨を申出書に書き、返信用の封筒と郵便切手を同封するよう案内されています。
窓口で受け取るときに必要なものは?
申出書の「申出人の表示」欄の住所・氏名と同じものが書かれた公的書類(運転免許証、マイナンバーカード、住民票の写しなど)を持参するよう案内されています。
代わりに誰かに頼める?
申出人からの委任によって、代理人に頼めます。代理人になれるのは、親族のほか、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士とされています。
管轄の登記所がわからないときは?
法務局のページでは、管轄のご案内のページにある不動産登記管轄区域を確かめるよう案内されています。
再交付は誰でも受けられる?
当初の申出書に「申出人」として氏名を書いた人だけです。申出人とならなかった他の相続人は、再交付を受けられないとされています。
法定相続情報証明制度を知って相続の準備を進めよう
法定相続情報証明制度は、戸籍の束と法定相続情報一覧図を登記所に出すと、登記官が確かめたうえで、認証文つきの一覧図の写しを無料で交付してくれる制度です。相続登記や預金の払戻し、相続税の申告などで戸籍の束の代わりに使えます。家系図づくりで集めた戸籍を整理しながら、法務局の案内を確かめて準備を進めましょう。