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家系図を作ろうと思って役所で戸籍を取り寄せようとすると、「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍謄本」など、似た名前の書類がいくつも出てきて戸惑うことがありますよね。どれを請求すればいいのか、どうやって古い戸籍までさかのぼればいいのか、最初はわかりにくいものです。
この記事では、仙台家庭裁判所が公開している「相続関係手続における戸籍の入手方法Q&A」をもとに、戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の3つの書類の違いと、古い戸籍を順番にたどるときのコツを整理しました。この資料は相続の手続き向けのものですが、戸籍をさかのぼる考え方は、家系図づくりにも役立ちます。
※戸籍の請求方法や手数料、請求できる人の範囲は、自治体や制度改正によって変わることがあります。実際に請求するときは、本籍地の市区町村役場で確認してください。
戸籍をさかのぼる前に知っておきたいこと
家庭裁判所の手続きで戸籍が必要な理由
仙台家庭裁判所のQ&Aでは、遺産分割の調停や審判、遺言書の検認、相続放棄の申述などの手続きでは、相続人と被相続人(亡くなった人)との関係を客観的な資料から明らかにする必要があるため、戸籍謄本などの提出を求めている、と説明されています。
そして、被相続人については、出生時から死亡時までの連続した戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本など)のすべてが必要とされています。生まれてから亡くなるまでの戸籍を、すき間なくそろえるということですね。途中の一つでも欠けていると、その期間の家族の動きがわからなくなってしまいます。家系図づくりでも、一人の人の一生分の戸籍をつなげていく作業が基本になります。
戸籍の形式は時代によって変わってきた
Q&Aによると、平成6年の戸籍制度改正によって戸籍は電算化(コンピュータ化)され、令和2年9月28日に全国の市町村で戸籍のコンピュータ化が完了しています。
| 戸籍の形式の呼び方 | 特徴 |
|---|---|
| 平成6年式戸籍 | 電算化された横書きの戸籍 |
| 昭和23年式戸籍 | 戸籍事項欄と身分事項欄が分かれている戸籍 |
| 大正4年式戸籍 | 昭和23年式より古い形式 |
| 明治31年式戸籍 | 大正4年式よりさらに古い形式 |
Q&Aでは、ほかに大正4年式戸籍、明治31年式戸籍と呼ばれる形式もあると紹介されています。昭和23年式より古い戸籍では、戸籍事項欄と身分事項欄が分かれておらず、戸籍事項欄が戸主の身分事項欄にまとめて書かれているので注意が必要だ、とされています。
戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の3つの違い
ここからは、3つの書類の違いを、仙台家庭裁判所のQ&Aに沿って見ていきます。
1. 戸籍謄本
戸籍謄本とは、戸籍内の全員の内容を写した書面のことです。電算化された横書きの戸籍が導入されている自治体では、「戸籍全部事項証明書」と呼ばれます。
これに対して、戸籍抄本は、戸籍内の一部の記載内容を証明するものです。Q&Aでは、戸籍抄本は家庭裁判所の手続きでは使えないので、間違って請求しないよう注意するよう呼びかけられています。家系図づくりでも、家族全員の情報がわかる謄本のほうが役立ちます。
2. 除籍謄本
除籍謄本とは、戸籍内の全員がその戸籍から抜けた状態の戸籍のことです。電算化済みの自治体では、「除籍全部事項証明書」と呼ばれます。
結婚や死亡などで全員がいなくなった戸籍も、除籍として保管されています。祖父母や曾祖父母の世代の戸籍は、すでに全員が抜けて除籍になっている場合もあるので、家系図づくりでは除籍謄本を請求する場面がよくあります。
3. 改製原戸籍
改製原戸籍謄本とは、戸籍制度の改正によって戸籍のスタイルが変わったときの、書き換え前の戸籍謄本のことです。Q&Aによると、明治時代の初めに全国統一の戸籍が作られてから現在までに何度か戸籍制度が改正されていて、そのたびに書き換え前の戸籍はすぐに破棄されず、改製原戸籍と呼ばれて保管されてきました。
ここで大事なのは、戸籍が改製されると、書き換え前の戸籍に書かれていた記載の一部が省略されることです。また、いちばん新しい戸籍には載っていない情報が、除籍謄本から見つかる場合もあると説明されています。そのため、相続の手続きでは、ほとんどの場合、改製原戸籍謄本や除籍謄本を入手する必要がある、とされています。家系図づくりでも、古い戸籍まで取り寄せることで、新しい戸籍にはない家族の情報がわかることがあります。
3つの書類の違いのまとめ
| 書類 | どんなもの | 電算化後の呼び方 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本 | 戸籍内の全員の内容を写したもの | 戸籍全部事項証明書 |
| 除籍謄本 | 戸籍内の全員が抜けた状態の戸籍 | 除籍全部事項証明書 |
| 改製原戸籍謄本 | 戸籍制度の改正で書き換えられる前の戸籍 | ― |
古い戸籍を順番にたどるコツ
新しい戸籍から古い戸籍へ
仙台家庭裁判所のQ&Aでは、戸籍謄本などは、いちばん新しい戸籍から、より古い戸籍へと順番に入手するのが通例だと説明されています。入手する方法は、本籍地の市町村役場の窓口で直接請求するか、郵便で請求するかです。
窓口で請求するときは、その役場にある、対象の人が記載された戸籍謄本などをすべて入手できるよう頼むと手間が省ける、とされています。郵便で請求する場合は、申請書、定額小為替、返信切手を貼った返信用封筒、身分証明書のコピーを同封するのが一般的です。ただし、その役場に必要な戸籍が何通あるかは実際に調べないとわからないので、一度ですべてそろうとは限らず、何度かやりとりすることもあると説明されています。
広域交付制度で近くの役場でも
Q&Aによると、令和6年3月1日から、戸籍謄本などの「広域交付制度」が導入されました。戸籍に記載がある本人や配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)の戸籍謄本などは、最寄りの市町村役場の窓口で取得の手続きができます。ただし、父母の戸籍から除籍した後の兄弟姉妹の戸籍謄本などは対象にならない、とされています。
日付をつなげて連続を確認する
戸籍が連続しているかどうかは、新しい戸籍が作られた日と、一つ前の戸籍の最後の有効日が一致しているかに注目して確認します。Q&Aでは、新しく戸籍が作られるきっかけとして、次の3つが挙げられています。
| きっかけ | 戸籍への記載 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 法律によって戸籍のスタイルが変わった | 改製 | 改製日と、改製原戸籍の消除日が一致するか |
| 婚姻や離婚、養子縁組などの身分の変動 | 編製 | 編製日と、一つ前の戸籍の除籍日が一致するか |
| ほかの市町村から本籍を移した | 転籍 | 転籍日と、一つ前の戸籍の除籍日が一致するか |
こうして日付を照らし合わせながら、より古い戸籍へとたどっていきます。対象の人が生まれた日より前に戸籍が作られたことが日付で確認できれば、出生から死亡までの戸籍がそろったことになります。
たどり方の4つのステップ
仙台家庭裁判所のQ&Aでは、出生時から死亡時までの戸籍を集める流れが、次の4つのステップで説明されています。
| ステップ | やること |
|---|---|
| ア | 亡くなった事実が記載されている戸籍謄本を見る |
| イ | アの戸籍事項欄を見て、この戸籍がいつ作られたか(編製日または改製日)を確認する |
| ウ | 一つ前の戸籍を取り寄せ、消除日または除籍日とイの日付を照らし合わせる |
| エ | さらに一つ前の戸籍を取り寄せ、イとウの照合を繰り返しながら、出生した時点で有効だった戸籍まで集める |
家系図づくりでは、出発点の人を自分や親にして、同じように一つずつ前の戸籍へさかのぼっていくイメージです。
続柄の抜けや養子縁組の記載に注目
Q&Aでは、集めた戸籍を見ていく中で、身分事項欄に養子縁組や認知の記載が見られたり、続柄の途中が抜けていたりする場合がある、と説明されています。たとえば、長男と三男の記載はあるのに二男の記載がない、といったケースです。
このような場合は、養子縁組や認知によってさらに戸籍が作られていないか、続柄が抜けているならいつの段階で除籍されたかなどを調べ、範囲が確定できるまで戸籍を集めるよう呼びかけられています。家系図づくりでも、こうした記載は、まだ知らない親族がいる手がかりになります。
古い戸籍の漢数字に注意
Q&Aでは、昭和23年式以前の戸籍では、年月日の表記に独特の漢数字が使われていることもある、と説明されています。
| 表記 | 読み・意味 |
|---|---|
| 壱、壹 | いち |
| 弐、貳 | に |
| 参、參 | さん |
| 拾 | じゅう |
| 廿 | にじゅう |
| 丗、卅 | さんじゅう |
| 朔 | ついたち |
古い戸籍は手書きで読みにくいこともありますが、Q&Aでは、戸籍のつながりは改製・編製や消除・除籍の日付に注目することで確認できるので、ほかの記載に惑わされないようにしましょう、と呼びかけられています。
戸籍と家系図のよくある質問
戸籍抄本ではだめ?
家庭裁判所の手続きでは、戸籍抄本は使えないとされています。家系図づくりでも、家族全員のつながりがわかる謄本を請求するのがおすすめです。抄本では一部の人の情報しか載っていないため、兄弟姉妹などのつながりを確かめにくくなります。
どの役場に請求すればいい?
戸籍は本籍地の市町村役場で管理されています。本籍を移していると、古い戸籍は前の本籍地にあることになります。広域交付制度の対象になる戸籍なら、最寄りの役場で手続きができる場合もあります。
郵便で請求するときの注意点は?
Q&Aでは、申請書類や手数料は自治体ごとに違うので、事前に本籍地の市町村役場に電話で問い合わせるか、ホームページで申請のしかたを確認しておくとよいと説明されています。請求書の書式を自治体のホームページからダウンロードできる場合もあります。必要な戸籍の通数によって定額小為替の額も変わるので、時間に余裕をもって進めましょう。
相続人関係図は作ったほうがいい?
仙台家庭裁判所のQ&Aでは、被相続人を中心とする「相続人関係図」を作ると、収集の効率があがり、その後の裁判所の手続きなどでも活用できるので、作成をすすめています。家系図づくりでも、集めながら簡単な図を書いておくと、次にどの戸籍を取ればいいのかが見えやすくなります。
3つの書類の違いを知って古い戸籍をたどろう
戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍のポイントを、もう一度まとめておきます。
- 戸籍謄本は戸籍内の全員の内容を写したもの(電算化後は戸籍全部事項証明書)
- 除籍謄本は全員が抜けた状態の戸籍(電算化後は除籍全部事項証明書)
- 改製原戸籍は戸籍制度の改正で書き換えられる前の戸籍で、新しい戸籍で省略された記載が残っている
- 新しい戸籍から古い戸籍へ、順番に取り寄せる
- 改製日・編製日・転籍日と、一つ前の戸籍の消除日・除籍日を照らし合わせて連続を確認する
- 令和6年3月1日からは、広域交付制度で最寄りの役場でも請求できる場合がある
古い戸籍をたどっていくと、ご先祖さまの名前や暮らした場所が少しずつ見えてきます。あせらず一つずつつなげて、家系図づくりを楽しんでくださいね。